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「あれ?」
両サイドに花壇のある石段を上って行くと、正面の黒い大きな門が見えてきたけど、その門は固く閉じられていた。
(これじゃ、中に入れないじゃない)
そう思っていると、黒い門の周りに、何人か人がいるのが見える。
門の側まで行くと、意外な人物を見つけた。
「瑞貴……来たんだ」
来ないだろうと思っていた瑞貴が、門の側に座っている。
「美羽」
彼女も私を見つけると、立ち上がった。
「来ないと思ってたよ、瑞貴」
「うん……。最初はやめておこうと思ったんだけど、たまには気晴らしもいいかなって」
そう言って、瑞貴は悲しげに笑う。
元々はショートだった瑞貴の髪は伸びて、肩より少し長いくらいまでになっていた。
その姿は、妹の瑞穂ちゃんに、よく似ている……。
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