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「無事だから済むって話じゃねー!!こんな人の心踏みにじるようなゲーム、何でやらせやがった!?」
みんなが奥底で抱いている感情を陸人が代弁した。陸人の言葉に、今度は執行人が動きを止める。考えるような間の後、執行人は言った。
「ゲームは終わりました。私は、あなた達に危害を加える気はありません 」
その場にいる私達の警戒を解こうとしたのか、執行人は静かに告げる。
「……ハッ、どうだかな?」
疑うような矢部君の言葉に、続けて田辺君も言った。
「そんな血塗れの凶器握って言われてもなぁ……」
全く説得力ないだろ、と言った風に、陸人達の警戒心は微動だにしない。
陸人が再び、臨戦体制に入った。今にも執行人に飛びかかるような気迫が伝わってきて、私は思わず陸人のシャツをぎゅっと握った。
「陸人……」
「なんだ、美羽」
「あの人……たぶん私達を襲う気がないよ」
「……はぁ?」
背中越しに、陸人が呆れたように少しだけ振り返る。自分で言っておいて、おかしいかもしれないが、だけど、本当にそう感じるのだ。
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