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私は、何も言わず、静かに従い、その場を去ろうとする瑞貴の側にいき、その手を握る。
「何にも力になれなくて……ごめんね、瑞貴」
ただ涙だけが溢れてきた。
そんな私に瑞貴は、小さく呟くように言う。
「美羽の笑った顔って、少し瑞穂に似てたな」
彼女の瞳は、目の前の私を見ているのではなく、今はいない瑞穂ちゃんを見つめているようだった。
本当に、瑞穂ちゃんのことを愛してたんだね。
……待ってるからね、瑞貴。
また、前みたいに一緒にいられる日まで。
そして、瑞貴は叔父の刑事に付き添われながら、大広間を後にした。
その後、事件の真相が世間に幅広く知られ、榊原女子中高生連続殺人事件に連なる、高校生による殺人事件として、連日マスコミによる報道が駆け巡った。
あの時、ダウトゲームに参加した私達も、同じ学校の生徒ということで、何度も取材を受けたけど、私も、陸斗達も、無言を貫いた。
あのアナザーワールドのオープンは、事実上取り止めとなり、私達7人以外の来園者が、あのパークに再び立ち入ることは二度となかった。
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