298人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれから、2年だね」
少しだけ陸斗の体が波打つ。
「あぁ……」
その言葉だけで、陸斗には伝わる。
「あの時、瑞貴は、悪夢は終わった、夢から覚めてって言ったけど、だけどね……」
回り続ける木馬のように。
「何も終わっていない……」
私の中の罪は。
「悪夢が終わらないの」
ずっとずっと。
なぜ生き続けるのか……。
私は……。
その時、不意に陸斗が、私の体を抱き寄せ、その先の言葉を遮るように、唇を重ねた。
夏の風が私達の側を吹き抜ける。
驚いたままの私から、そっと唇を離すと、陸斗の黒い瞳がまっすぐ私を捉えた。
「今日誘ったのは……お前にもう一度ちゃんと気持ちを伝えたかったから」
初めて会った時から、変わらない澄んだ瞳。
「あの時伝えた嘘、今も変わってない」
何度助けられただろう。
「好きだ、美羽」
命がけで守ってくれた、強さ、優しさ。
最初のコメントを投稿しよう!