この手の温もりを

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「あれから、2年だね」 少しだけ陸斗の体が波打つ。 「あぁ……」 その言葉だけで、陸斗には伝わる。 「あの時、瑞貴は、悪夢は終わった、夢から覚めてって言ったけど、だけどね……」 回り続ける木馬のように。 「何も終わっていない……」 私の中の罪は。 「悪夢(ゆめ)が終わらないの」 ずっとずっと。 なぜ生き続けるのか……。 私は……。 その時、不意に陸斗が、私の体を抱き寄せ、その先の言葉を遮るように、唇を重ねた。 夏の風が私達の側を吹き抜ける。 驚いたままの私から、そっと唇を離すと、陸斗の黒い瞳がまっすぐ私を捉えた。 「今日誘ったのは……お前にもう一度ちゃんと気持ちを伝えたかったから」 初めて会った時から、変わらない澄んだ瞳。 「あの時伝えた(きもち)、今も変わってない」 何度助けられただろう。 「好きだ、美羽」 命がけで守ってくれた、強さ、優しさ。
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