この手の温もりを

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「生きる意味が、欲しいなら……。俺のために生きてくれ、美羽」 そうだね。 貴方は、いつも私が望むものを叶えてくれる。 「うん、ありがとう……。それからね、陸斗。私まだずっと伝えてない秘密がある」 「えっ……」 陸斗の肩が少しだけ揺れた。 私こそ、一度もちゃんと伝えてこなかった。 だから、今、言葉で。 「私、ずっと陸斗のことが好きだったよ。小学生のあの日、出会った時から」 あの日から、あなたは数えきれないほど、私を救ってくれた。 「ああ」 少しだけ頬が紅潮した陸斗が、小さく頷いた。 「さあ、行こうか」 陸斗の手が、私の手をそっと包む。 爽やかな夏の風と木漏れ日を受けながら、私達はまた歩き出す。 私はきっと、この先も、光の射す道を進んでいけるだろう。 繋いだ、この手の温もりを離さない限り……。                end.
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