貴女に寄り添う光のように

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「テストは、合格だった?」  俺の言葉に、雅お嬢様は不安げな表情を浮かべた。  俺に直接お嬢様本人が明言したことはないが、周囲の物言いから察するに、俺が今纏っている衣服のデザインはすべて雅お嬢様の指示が入っている。  それをチェックしていたと言われたのだから、不安にならないはずがない。  だから俺は、笑みを浮かべて答えた。 「満点で合格でございます。  こうして無事に、席に着くことができているのですから」 「ちょっと! 待ちなさいよっ!!」  雅お嬢様の顔に、ほっと安堵の笑みが宿る。  だがその笑みを、キンと甲高い声が遮った。  思わず俺は冷たい瞳で女を睨みつけた。  椅子を蹴って立ち上がった女は、俺の視線に一瞬だけ怯む。  だが喉まで出かかった言葉がそんなに簡単に引っ込むはずがない。
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