貴女に寄り添う光のように

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 一条家のリムジンは、入り口に横付けされる形で用意されていた。  他の客がたじろいでいる中、雅お嬢様は躊躇うことなくリムジンに乗り込む。 「楽しみだなぁ、ディナーパーティー!  きっと美味しい物がいっぱいよ!!」  あどけない顔でディナーを楽しみにする様子は、ただの子供と変わりない。  そんな子供が、あれほどの言葉を紡ぐ。  等身大の子供が纏う気品というギャップも、雅お嬢様の魅力の1つだと、俺は当然理解している。 「お嬢様の頭の中は、常に食い気でいっぱいですねぇ」  だからつい、そのぷくぷくのほっぺをつついてからかってしまう。  今ある幸せを、噛みしめるかのように。 「お作法を忘れたら、オキヨさんにど叱られますよ?」 「そっ……それは、時任が黙っていてくれれば……っ!!」 「俺はお目付け役だから、チクるのも仕事の内だ。  残念だったな」 「そんなぁっ!!」
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