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鷹利くんの目が私を捉えると、彼は微笑みを浮かべながら私に近づいて来た。
「お土産買うんだよね? ……誰に買うの?」
「大学の友達。鷹利くんは買わないの?」
彼女にとか。好きな子にとか。
「別にいいや。観光に来たわけじゃないし」
そう言ってお土産を選ぶ私に付き合ってくれた。
その後、自販機でお茶を買って車に戻ろうとしたら、かわいい犬がいたので立ち止まって見た。
「かわいいね」
隣に立った男の人が話しかけてきたので、「そうですね」と答えたらニヤニヤ笑われた。
「犬じゃなくて君のこと。かわいいね。一人?」
怖くなって固まってしまった。
「ツレが何か?」
先を歩いていた鷹利くんが戻ってきて、男の人にそう言ってくれた。
鷹利くんは私の手を握って引っ張るように歩き出した。
「あの、ありがとう」
前を向いたままの鷹利くんに恐る恐る声をかけた。
「さっきのナンパだよ? 気を付けないと」
「うん、ありがとう。助けてくれて。私、いつも鷹利くんに助けられてるね」
「真名ちゃんは僕の大切な子だから、守るのは当たり前だよ」
そんなことを言われて、ビックリして立ち止まってしまった。
手を繋いだまま、困ったような顔の鷹利くんが私を見つめた。
「僕はずっとチビで友達についていくのがやっとだったけど、真名ちゃんだけは僕を頼りにしてくれてただろ? それがすごく嬉しかったんだ。真名ちゃんの前では僕もお姫様を守る騎士みたいな気になれた。しばらく会ってなかったけど、やっぱり真名ちゃんはかわいくて、僕が守ってあげたいって思ったんだ」
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