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「江川くん。鬼堂くんが来たみたいよ。佐竹くんが一緒じゃないから……訊いてみたらどう?」
そう言って、話に割って入ったのは九条さん。
通学路の方を指差したその先には……見るからに不機嫌そうに、こちらを睨み付けているかのような鬼堂が歩いて来ていた。
「おいおい、いきなり喧嘩でも吹っ掛けて来そうな雰囲気だな。下手に刺激するとやばそうだ」
龍臣の言う通り、耕太が何か言ったら殴り掛かりそうな雰囲気だよな。
「小野、変に突っ掛かるなよ。俺の後ろに隠れてろ」
「な、何言って……ま、任せるけどさ」
小さくそう呟くと、小野は道の脇に移動してくれた。
後は……鬼堂がどうして不機嫌なのかという事だな。
ザッザッと、地面に靴を擦り付けるような歩き方で、こちらにやって来る。
そして、俺達の前までやって来ると舌打ちをして、ここにいるやつらを見回して口を開いた。
「なんだよ。テメェら揃いも揃って人を睨み付けてよ。言いたい事があんなら、何でも言ってみろ」
早速喧嘩腰で、人を威嚇するような話し方。
耕太もビビって何も訊けないでいる。
そう思った時だった。
「佐竹くんに訊きたい事があるの。鬼堂くんは今日は一緒じゃないの?」
誰も、何も訊けないと思われたけど……九条さんが口を開いたのだ。
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