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「なあ、浦谷。佐竹がいなくなったって、どういう事だと思う?ゾンビに喰われたとしたら、やっぱりあの貼り紙は佐竹がやってて、昨日見たゾンビが犯人を見付けたって事なのかな?」
皆が移動を始める中で、小野が俺の制服の袖を引っ張って、そう尋ねた。
……なるほどな。
状況としては、小野が言った事は矛盾点がなくて、すんなり理解出来る。
まあ、佐竹にあんな残酷な殺し方が出来るかという疑問を除けば……だけどな。
「まだ何とも言えないよな。犯人が佐竹で、ゾンビが喰ったなら、これ以上事件は起こらないはずだよ」
今はそれしか言えない。
小野が俺の制服の袖を掴んでいるなら丁度良い。
皆の移動に合わせて、俺も動き始める。
小野もつられて移動を始め、これで学校の中に入れると思ったけど……。
真野さんだけが、何かを考えているように、ぼんやりと何かを見詰めて、壁にもたれて立っていたのだ。
「ん?真野さん、皆行ったけど……行かないの?」
そう、俺が尋ねても返事もしない。
何か……変だぞと思った時、小野が小さく悲鳴を上げて、真野がもたれている壁を指差した。
そこには……血が。
真野の身体から流れ出ているのか、足元には大きな血溜まり。
そして……グラリと真野の身体が横に倒れ、俯せになったその頭部には……大きな穴が空いていたのだ。
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