コンラン

18/60
2814人が本棚に入れています
本棚に追加
/655ページ
その言葉に反応して、手を挙げる者は誰もいない。 耕太が見ていなくて、俺も見ていないなら、真野に佐竹が近付いた所なんて誰も見ていないはずだ。 鬼堂も、耕太が佐竹を疑っているわけじゃないと知って、不機嫌ながらも黙って皆を見回す。 「こんな事は考えたくないが、そうなったらこの中に真野さんを殺した犯人がいると思うんだ。きっと、貼り紙にあったゾンビがね」 耕太が出した答えは……それかよ。 俺の前に現れたゾンビは、クラスメイトを喰わないって言っていたけど、捉え方によっては、「殺さない」とは言っていないとも取れるのか? 「フフフ……その可能性は大いにあるわね。私も同じ事を考えていたもの」 この二人は、昨日とんでもない数のメッセージをやり取りしていたからな。 ありとあらゆる事を必死に考えていたから、こんな事件が突然起こっても結論を出せたんだろう。 「……そのゾンビってのは、じゃあ一体誰なんだ?そいつが真野を殺したのか?」 口数の少ないゲンさんも、さすがに気になるようで、不安そうに耕太に尋ねた。 その問いに対して……耕太はどんな答えを出すのか、俺も気になったけど……。 「僕は……浦谷くんがゾンビの可能性が一番高いと思う」 それは、全く予想だにしない答えだった。
/655ページ

最初のコメントを投稿しよう!