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グチュグチュと音を立てながら、男の頭部から顔を離す化物。
その口は旨そうに何かを含んでいて、噛んでいるのがここからでもわかる。
なんだ……あれ。
一体何を食ってるんだよ!
頭が、目の前で起こっている事を考えないようにしているのか、全く働いてくれない。
ここにいてはいけないと、身体が拒絶しているのに、動こうとしない。
ゴクリと何かを飲み込んだ化物が、男の頭部に手を入れた。
「はひっ……あ……あっ……」
声を出して、弾かれるように身体が動いているけど。
なんだよ……何が起こってるんだよこれ!
俺はいつも通りの生活をして、いつも通りの道を歩いていただけなのに!
きっと、俺の頭はその光景を理解している。
でも、そうだと信じようとしない。
化物の手が、男の頭部から何かを引き抜いた。
そして、大きく開いた口にそれを運んだのだ。
グッチャグッチャと咀嚼して、満足そうに飲み込んだそれは……。
きっと、男の脳みそ。
その考えに達してしまった俺は、胃からこみ上げてくる熱いものを我慢出来ずに、屈んで地面に嘔吐した。
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