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「はぁ……はぁ……嘘だろ……」
抑えようとしているのに、嘔吐の影響か、呼吸が荒くなる。
一刻も早くこの場を離れないと、もしかしたら俺もあの化物に食われてしまう可能性があるのに。
身体が……恐ろしくて動いてくれない。
見たくもないのに、怖いもの見たさからか、目がそちらを向いてしまう。
脳みそを飲み込み、空っぽになった頭部に噛み付いた化物。
バキバキと骨を砕き、男の頭がどんどん小さくなって行く。
そんな中で、ニュルンとこぼれ落ちた何か。
ポトリと地面に落ちて、ほんの少しだけ転がったそれは……男の眼球。
こちらをジッと見つめていて、まるで助けを求めているかのようだった。
化物は、男を喰らう事に夢中で、それに気付いていないのか。
バキバキ、グチャグチャと音を立てながら、物凄い勢いで衣類ごと腹の中に入れて行く。
どれだけ食べても大きさが全く変わらない事も、気味の悪さを感じる要因なのだろう。
そして……すべてを喰らい尽くして、地面に飛び散った血を、這うようにして舐めて。
落下した眼球にそこで気付いたのか、それをつまみ上げると、口の中に放り込んで旨そうに噛み砕いた。
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