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やばい……やばいやばいやばいやばいやばい!!
この公園の出入口はここと反対側の二箇所!
もしもあの化物がこっちに来たら、早く逃げないと俺まで食われてしまう!
震える身体を、四つん這いのままで後退させて、なんとかこの場から離れようとするけど……。
足音が、こちらに向かって移動を始めた。
俺がいる事に気付いたのか、それとも単純に公園から出ようとしているだけなのかはわからない。
どっちだって関係ない。
逃げなきゃ……食われる!
その想いだけで立ち上がったけれど、恐怖で膝が震えて崩れ落ち、その場に尻餅を突いてしまった。
足音は迫る。
ザッ、ザッと、俺に歩み寄るように。
そして、その時が訪れた。
公園から出てきた化物。
姿形は人間と変わらないと思う。
暗くてハッキリとわかるわけじゃないけど、大きく耳まで避けた口。
ああ……俺もさっきの男みたいに食われてしまうのか。
空手をやっていても、恐ろしくて動けないんじゃ意味ねぇよ。
ガクガクと顎を震わせて、見上げた化物。
地面に座る俺に、光を反射する赤い、蛇のような目を向けた瞬間……俺の意識は混濁し、眠るようにその場に倒れた。
このまま、食われてしまうんだなと諦めながら。
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