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あれから俺はどうなったのか。
死んだ後でも、こうやって考える事が出来るのか?
なんて思いながら、身体を包む暖かい何かに安らぎを感じていた。
「……う、翔(ショウ)!いい加減に起きなさい!学校に遅刻するよ!」
耳元で叫ばれた、とんでもなくでかい声で飛び起きた俺は、慌てて辺りを見回した。
ここは……俺の部屋?
でも、服は昨日と同じで。
いつここに戻って来たんだ?
「あんたさ、昨日何してたの?道場からの帰りに倒れてたって、陽子ちゃんが運んでくれたんだよ?」
「ね、姉ちゃん!俺、死んでない!?どこも食われてない!?」
頭に手を当てて、撫で回すように確認してみるけど、どこを怪我しているようでもなさそうだ。
そんな俺を見て、「はぁ?」と姉ちゃんが声を漏らす。
「何わけのわかんない事言ってんだか。それより、陽子ちゃんにお礼を言っときなよ?男前な彼女を持って、あんたは幸せだねぇ」
「よ、陽子はそんなんじゃねぇよ!誰があんなゴリラを!」
そう反論したけど、俺の頭の中は昨日の出来事でいっぱいだった。
あれは……現実に起こった事なのか?
それとも夢だったのか。
頭がぼんやりとして良くわからない。
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