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だけど、小野の反応は予想外のもので……キョトンとした表情で俺を見たかと思うと、慌てた様子でテレビの電源を切って小さな声を出したのだ。
「え、べ、別に良いけど」
風呂に行くまで座っていた場所に腰を下ろし、少し照れたように髪をタオルで拭く。
その予想外の行動に、俺も慌てて起き上がって、ベッドから足を下ろした。
しまったな……何を話すべきなんだ?
「え、えっとさ。小野はどうするつもりだ?何もしないで犯人が捕まるのを待つか、殺される覚悟で犯人を特定するか」
さっきまで俺が考えていた事だけど、小野はどう思っているんだろうか。
陽子と千奈美はきっと、待つ方を選ぶだろうな。
「……待って、本当に捕まるの?皆殺しにされて、犯人がわかりましたじゃ意味ないでしょ。それならこっちから探した方が良いよね」
実に小野らしい答えだな。
口では何とも言えるけど、怖くないのかな。
人が喰われ、同級生が殺され、俺は正直怖い。
ただ、頭ではわかっているけど、どこか自分が殺されるかもしれないという実感が湧かなくて、宙ぶらりんな気分だ。
「あんたはどうなの?」
「俺は……探すよ。犯人もゾンビも。どっちにしても死ぬかもしれないならね」
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