2819人が本棚に入れています
本棚に追加
小野が俺と同じ事を考えてるなんて不思議だな。
いつも退屈そうにしてて、積極的に何かをするようなやつじゃないと思ってたのに。
まあ、死ぬかもしれないって考えたら、人任せには出来ないよな。
さっき言われた「気が合う」って言葉が妙に気になってさ、ちょっと意識してしまうんだよ。
クラスの中でも可愛い顔してるのに、その態度から誰も近寄ろうとしない。
「……だからさ、一体何なわけ?話しもしないでジッと見てさ」
「い、いや。ごめん、なんでもない」
こんな事を考えていたなんて、とてもじゃないけど言えないよな。
人が死んでるってのに、俺はバカか。
それを小野に悟られないように、ベッドに横になって布団を被った。
「え、ちょっと。話をするって言ったのに寝るの?」
「お、小野はテレビ見てたら良いよ。あ、部屋を出る時は電気消しといてくれよ」
小野に背中を向けて、これ以上意識しないように目を閉じた。
それでも、背中にその気配を感じるんだけどね。
「はぁ……」
その溜め息の意味は何だよ。
俺が女の子と二人きりで部屋にいて、ずっと喋っていられるほど場慣れなんてしてないぞ。
陽子と千奈美は幼馴染みだから、遠慮なく話せるだけなんだ。
そんな事を考えながら、俺は目を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!