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「はあっ……そんなに慌てないの。あんた、こういうの初めてでしょ?だから、私が気持ち良い事してあげるよ」
唇を離し、そう囁いた小野が、俺を仰向けにする。
その上に小野がまたがって、ゆっくりと身体を倒して来た。
首筋に這う、唇と舌の感触。
その快感に、全身がビクンビクンと痙攣するように動くのがわかる。
くすぐったいような……だけど、今までに感じた事のない感覚に溺れてしまいそう。
「お、小野……」
その細い身体を抱きしめ、もう一度唇の感覚を味わいたいと、小野の頬に手を添えた。
それに気付いてくれたのか、小野が少し身体を起こして俺の目を見る。
「なあに?もっと……食べさせてよ」
そう言った小野の口から……ポタポタと何かが垂れていたのだ。
「……え?」
小野の目が……赤い。
口は耳まで避け、ヒビ割れた皮膚が俺の上に落ちる。
ま、まさか小野が……。
「ゾ、ゾンビなのか!?」
「静かにしなきゃ。家族に声を聞かれちゃうでしょ?」
ニタリと笑った小野が、俺の唇に噛み付いた。
ノコギリのような歯が、容易に肉を裂き、骨を噛み砕く。
小野の顔が離れた時……そこでやっと、俺の首と顔の肉が、食いちぎられている事に気付いた。
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