第4章 新しい生活

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「僕の叔母は、上村会長の妻だったんですよ」 彩也子の顔から血の気が失せた。 「そうだったの」声が震えていた。 「ごめんなさい。私のために・・香川さんだっておもしろくないでしょう」 彩也子は彼から顔をそむけた。 こんなに良くしてくれる彼が、奥様の甥だったなんて、彼に申し訳ないと彩也子は思った。 「彩也子さん」と祐二は彼女の様子を見て言った。 「確かに、あなたのことを聞いたとき、僕もショックでしたが、叔母は1年前に亡くなりました。そして彩也子さんのお母さんも5年まえに亡くなっています。でも、あなたがこうしているのは現実だ。今、この時を生きているあなたが大事なんですよ」 祐二は、本当にそう考えているのだった。それだからこそ、彼女のために動こうと決意したのだ。 「ありがとう。でも、ごめんなさい・・」 彩也子は涙ぐんでいた。 彼がやさしいだけに、彼女は苦しかった。彼の気持ちを思うと悲しかった。
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