第2章 彩也子

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「彩也子さん、でも実のお父様にはお会いしたいでしょう?」と祐二がきいた。 彼女は涙を拭いて言った。 「父には・・会いたいです」 彼女が帰ったあと、池田弁護士と祐二は今後のことについて話し合った。実際、これからが大変だった。 「上村会長の一人娘の晶子(あきこ)さんにはどう話したらいいのか。迷いますよ」と祐二が言った。 晶子はすでに結婚していて、夫の謙一は上村ホールディングスの社長だ。 「晶子さんだって、会長の意向を無視するわけにはいかないでしょう」と池田弁護士が言った。 「それは・・そうですが」と言うと、祐二は憂鬱そうに事務所の窓から、曇った空を見た。
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