1章 思い出の夢

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あー、今日もいい天気だ! 快晴、新緑、少し涼しい風、花の匂い。 「やっぱ春はいいねー!」 うーんっ、と青空に手を向けて思いっきり背伸び。 はぁーと息を吐くと、その後綺麗な空気が私の体の中に染み渡ってくる。 「やっぱここにいたか。」 そう言って木の上にあるテラスに顔を見せた晃歩。 「べつにー、サボってた訳じゃないよ?」 首を傾け可愛げに言ってみせると晃歩は二やっと笑って可愛くねぇーと言った。 あれ、ちょっとくらい可愛く見えてない? そうか、晃歩は首を曲げる系女子の事は好きじゃないのか。 「なーに考えてんだ、考えてる暇あったらこんな所でサボってないで早く仕事しろ」 「あー、だからサボってないってば!」 テラスから出ていってしまった晃歩の背中にあっかんべーをして一息つくとわたしは上を見上げた。 あーあ、もう1年かー、早いなぁ。 「わたしの人生はこの1年でビックリするくらい変わったけど、この木は変わらないでここにいてくれるのね。」 そう、これは晃歩と出会う一年前のはなし。
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