1章 思い出の夢

6/7
前へ
/7ページ
次へ
どうしょう!止めなきゃ! 倒れていく自転車の波を追いかけて普段めったに使わない身体の全細胞と全筋力を全力で動かした。 「まって、止まって、倒れないで!!」 視線を自転車でなく前に向けると私の走る進行方向に自転車を停めようとしている人がいた。 あっ、やば!私と同じ遅刻の人! 「危ないです!逃げて!」 息切れしながら必死に叫ぶ。 遅刻の人も私の声に気付き緊急事態が起きていることを理解したようだった。 ようやく自転車のドミノに追いつき手を伸ばして自転車を掴んだ頃にはかなりの台数の自転車が倒れてしまっていた。 「ふぅ、よかった」 無事自転車を止め、ため息を漏らしながら肩を下ろした。 …ガタンガタン。 「おい、おま、なに手離してんだよ!」 あーーっーー!! また倒れてるぅーー!!!
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加