焼ける色に目を瞑る。

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 あ、ストッキング伝線してる。  また、ため息をついてブラジャーのホックだけ外して洗面台に――うぉう。  自分の顏にびびった。 どろどろてかてか、じゃなかったから。  なんだこれ……泣いた、痕?  しばし鏡に映った自分の目をなぞる。  ………………ま――ったく、思い出せん。 何があった昨日の自分。 思い出せ。 一応まだ女やってるだろ。 おいおい。  まぁ無理なんですけどね、と、びゃーっ、とメイク落としオイルを手にとって、どろどろを溶かしていく。  お腹減った。 冷蔵庫に――何もなかった気がする。 コンビニ飽きた。 どっか食べに行く――っつっても、まだ五時前。 でもお腹減った。  すっきりした濡れた顏のまま鏡を見ると、すっぴんで、荒んだ目の自分がいた。
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