扉のむこう

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 思わず、僕は言い返すように叫んだ。  でも、相手がどこにいるのかわからない。 「誰か助けて」  人の声、やはり女性だ。  ドアのむこうからしている。  僕は目星をつけたドアを叩いた。  木製の、でも、分厚くて丈夫なドアを何度も叩く。 「お客さん。ここにいるんですね。お客さんッ。どうかされたんですかッ!!」 「ダレカ、タスケテ」  もう一度、さっきよりも大きな声ではっきりとした口調だった。  パニックがいきすぎて、感情がマヒしているのだろうか。 「わかりましたッ。開けますッ」  ノブを回すと、あっさりと動く。    僕はドアを開け、室内へ飛び込み、吹き飛ばされた。  弾き飛ばされたいったほうが正しいかもしれない。    とにかく、得体のしれないなにか、強風か、空気のかたまりのような圧力に僕は、跳ね返され、室内に入れず、廊下の壁に背中から激突した。  格闘技どころか、運動神経自体が平均よりやや下の痩せっぽちの僕は、ダメージに耐え切れず、絨毯に倒れ伏す。 「や、やばい。御園さんに、連絡を」
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