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扉のむこう
僕と、同級生の御園ゆうさんが、数奇屋(すうきや)でアルバイトするようになって、しばらく経ったある夜のことだった。
いちおう将来、映画監督志望の僕は、御園さんに監督と呼ばれている。
御園さんは、批評家を自称するかなりの映画マニアで、僕らは高校の映画研究部に所属している一年生だ。
御園さんによると、映画は現実には存在しないはずの一瞬をフィルム上に寄せ集めて、組み合わせ、物語、世界にした、奇跡の集合体、だそうです。
それはそれとして、話を戻すと、僕らがバイトらしきことをしている数奇屋は、不思議な店だ。
実際、店と呼んでいいのかわからない。町はずれに、ひっそり建っている三階建ての古びいたビルで、御園さんによると、元はビジネスホテルだったらしい。
まぁ、それは外見からも、中に入ってもすぐわかる。
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