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加奈子は血のついた包丁を男の服でふき取り、まるでそこに死体などないようにふみつけ、その場を離れた。
「マスター。どこにいるの?」
チョロチョロチョロという川が流れる音が聞こえる。
加奈子は、音のほうへ歩き、水をすくい口に含む。
「飲料水としてはつかえそうね。
マスターを見つけたとき、ここを拠点にしましょう。」
川で男を踏んだときについた靴の血を洗い、念のため包丁も洗う。
そして、ポケットからハンカチを取り出し包丁を丹念に拭くとまた包丁ケースにしまい、腰リボンに隠す。
「・・・・・手がかりが必要ね・・・。」
ヴッヴヴヴヴーーーーっという振動がスポーツバックからひびいてきた。
〝これは?携帯???〟
加奈子はスポーツバックからスマホを取り出し、確認する。
「運営?
ああ・・そういうことか・・・」
スマホを見つめながら、にやりと笑い大きなケヤキをにらみつけると再び森の中へ駆け出していった。
「うふふふ・・・・まってて。マイマスター!」
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