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〝ここは何処だろう。〟
気がつけば、見知らぬ廃墟の中。
六畳ほどの小さな家は、屋根は丸ごと何か爆薬の様なものに吹き飛ばされた様な形跡があり、壁には黒い人型の様なシミがある。
「何故、こんな……うっ……。」
起き上がろうとすると同時に、ズキンと頭に響く痛み。
何か嗅がされたのであろうか。
ズキンズキンと響く様な痛みの中、自分の記憶に不安を感じ、一つ一つ確認する。
〝俺の名前は、山田晃平。
年齢は、20歳。
好きな食べものは、炒飯
嫌いな食べものは、ピータン。
現在、職なし。
引きこもり生活歴、2年。
よし、間違いは無いな……。
…………。〟
記憶に障害がない事は確認出来たが、後半の事だけは忘れてしまいたかった。
俗に言う引きこもりニートと言う現実など、最早悲しい現実でしかない。
〝俺にだって夢はある。
有名大学を出て、IT企業に入社して、エリート街道を進むと言う夢が!〟
だが、その夢は、あっさりと打ち砕かれた。
大学に行く金が家に無かった。
高校はアルバイト禁止な上、パソコンすら家に無い。
そして、職業難な社会と言う現実。
唯一、携帯のアプリだけが心の救いだった。
「まぁ……今そんなことを考えても仕方ないか……。
それより、ここは何処なんだ。」
晃平は、頭を2.3回振り回し、顔を二回叩くと、立ち上がり、廃墟の外に出る。
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