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──学校の帰り道。花梨と僕はお喋りしながら歩いていた。
「そんでさぁ、アズがくしゃみしたんだよ?私可笑しくって可笑しくって」
僕は一点を見つめていた。
「へぇ。僕には花梨のツボが未だに分からないよ」
花梨が地面を激しく蹴った。
「ひっどい!もう口きいてやんないんだから!」
「ご、ごめん」
「すぐ謝るのもダメなんだよ!……こうなったら、私が一から鍛え直してあげる!」
花梨が僕にファイティングポーズを取った。
僕が宥めようとした時、花梨の背後の塀が不自然に歪んだ。
僕はとっさに花梨の手を引き、自分の後ろに退がらせた。
「な、何よ!あ、あれ?何あれ……」
塀の歪みは丸い円となった。円の内側は白く光っている。
「分からない。ここから離れよう!」
走り出そうとした刹那。二人はそこに重力があるかのように、光の中に呑み込まれた。
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