沖ノ島

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 杉谷は、沖ノ島にやってきた。館山にある面積4、6kmの陸続きの島だ。派遣であちこち転々とされている。20万の報酬で金ヶ崎を射殺した。  いろいろ悪い噂が絶えない、自己中心的な議員だ。生きていても何の価値もない人間だ。  沖ノ島には宝貝やイソギンチャクなど珍しい生き物がいる。不思議な鳥居がある。  宇賀明神といって、1096年に安房守として赴任した源親元が地域産業の発展を願い建立したものだ。  愛犬の大門に尋ねた。「アワモリって何?」 「馬鹿野郎!アワノカミだ。真田昌幸も安房守だった、群馬と千葉は里見義実以来からの仲良しだ」  八犬士のbossである里見義実は群馬県高崎市の出身だ。結城合戦に敗北し、はるばる館山まで逃れてきたのだ。 「はるば~る、来たぜ~館山!」 「うるさい!館山じゃなくて函館だ!」 「結城って紬が有名だよね?いつ頃の話?」 「1440年、結城氏朝が関東軍の上杉憲実に反旗を翻した」  茨城県が東京都にクーデターを起こしたのと同じことだ。発端は1438年に勃発した永享の乱にある。鎌倉公坊の足利持氏と、関東管領の上杉憲実が対立した。 「大門って何でも知ってるね?」  ゲートを抜け、鷹ノ島公園に入った。欧風の東屋で一休みする。 「ヘリは何時ぐらいに出発するんだ?」  大門犬が尋ねた。海上自衛隊も里見の傘下に入った。里見は派遣社員に武器と金を与え、私兵として使っていた。里見は《エアーデ》という会社を設立した。ドイツ語で地球と言う意味で、表向きは環境保護団体だ。  里見に拾われていなかったら、今頃ホームレスになっていたことだろう。 「午後5時だ」 「そうか、それまでゆっくりしよう」  杉谷は大門犬の頭を撫で撫でした。ワンワン!    杉谷はG-shockを覗き見た。「まだ10時か」  船舶工業のドックにタンカーが停められていた。  エアーデが依頼して造らせている。  館山港の周りを散歩した。魚が顔を出している。 「(・∀・)やぁ、そこの兄ちゃん景気はどう?」 「なかなかだねぇ、海の中はどう?」 「(・∀・)キレイだよ。海底ポストには行ってみた?」 「まだ、行ってない」 「(・∀・)是非、来てね?ワンちゃん、変な顔だなぁ?」 「?大きなお世話だワンッ!」  館山市役所の敷地内には赤山地下壕がある。不気味な雰囲気だ。噂によると戦国時代に通じているらしい。    
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