静岡酔笑紀行

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静岡酔笑紀行

 2012・12・15  辻堂に降り立ったときは夕闇に包まれていた。  黒崎フーズと家族の板挟みになりそうだった。  何もかもをぶち壊しにしたい気分だ。  ファミマに寄り、久々に煙草を買った。ショートホープ。缶コーヒーを飲みながら、灰島は缶コーヒーを飲みながら夜の風に吹かれていた。  帰る気にもなれず、灰島は街をさ迷った。  熱海にたどり着いた。湯煙が立ち上る。漸く200万溜まった。それにしても、あの工場は恐い。  夕凪町にあるのだが、まともな人間が1人もいない。あんなところに長居したら犯罪者になってしまう。  ロータリーをトボトボ歩く。バス停を探す。工事中で、複雑な地形になっている。停車中のバスに乗り込む。運転手に、大江戸温泉物語があることを教えてもらった。  温泉に入る。700円した。子供が湯船を泳いでいる。名古屋から来たそうだ。客たちと地震の話をした。  温泉を出て宿探し。咲見町にあるビジネスホテルに泊まることにした。運よく一部屋だけ空いていた。  部屋に荷物を置き、街に繰り出す。平和通り商店街を歩く。勾配になっており、ツリーが天井から飾られている。  宝くじでも買うか?スクラッチをやった。外れた。あれ?アゴの調子が悪いな。  バイオハザード1に出てきた蠅みたいな奴、あれに似たコスプレをした男が、スキップしながらこっちに来る。恐怖で鳥肌が立った。 「俺はキメラ、ピロリ菌でおまえを殺したい」  キメラはアンパンマンを殺すために造られたそうだ。 「黒崎を潰したいとおまえ思ってる。そのうち、きっと大きな声で笑える日がく~るから?」Mr.Childrenの《星になりたい》のサビを口ずさみ、「来ない来ない、そんな簡単には来ない。犯人になったら、笑えないし眠れない」  星じゃなくて、ホシかよ!  キメラはスキップしてどこかへと消えた。  何故、俺が黒崎フーズの社員だって知っていたのだろうか?ハエってのは気持ち悪いけど、小さいし弱い生き物だ。だけど、毒虫であることにはカワリナイ。  部屋に戻ってキリンビールを飲んで、歯を磨こうと洗面所に入る。顔を洗って、鏡を見たらキメラが立っていた。 「なんで~歯を磨こうとしてるのに、顔を洗っているんですか?」編集マンの幻聴が聞こえたので、太宰は耳を塞いだ。島田っていう小動物系の女だ。  いつも人の作品に茶々を入れるのだ。  野々村に頼んで殺してもらおうかな?    
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