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最凶セブンin沖縄
2016年
風に乗って届くヘリのローター音が腹を震わせた。エアーデが沖縄の瀬長島に上陸した。
「野々村の奴、ドタキャンかよ?」
隣に立つ杉谷が言った。6号、杉谷闘真。
私は不意に安を殺したくなった。パン工場の工場長だ。先祖は伊藤博文をハルピンにて射殺している。安のせいで私の生活はボロボロだ。
ヘリのテールライトが小さくなる。葡萄色の空を旅客機が掠めるように飛ぶ。
「那覇空港が近いんだ」
蒲生隊長が言った。長身で穴熊みたいな顔をしている。ホルスターもしてないし、刀も持っていない。蒲生以外の7人も同じだ。
蒲生の先祖は蒲生氏郷。織豊時代を支え、会津若松市の母体を築いた人物だ。1号、蒲生。
蒲生隊長も、杉谷氏同様に甲賀忍者の血を受け継いでいる。腕を伸ばし、ストレッチをしている。
「タキの奴、うまくやっているかしらね?」
穴熊の横で、青汁を飲んでいるオバサンが高畑充子。中学生の息子がいるらしい。2号、高畑。
タキ、はじめて聞いた名前だ。滝?瀧?
「滝ですか?滝廉太郎ですか?工場の尽きですか?」
リュックからビーフジャーキーを出しながら、メガネ豚が言った。3号、力丸。
リキマル、名は体を現す。偽名かもね? 滝廉太郎くらいは知っている。音楽の教科書に乗っている。工場が衰退していく歌でしょ?
「デブ、うるせーよ。豚臭、キモいんだよ」
迷彩柄のTシャツを着た金髪のガキが、力丸のケツをkickする。4号、千葉修一…シューイチ!
「うっせー、キモいとか言うな!」
ジャーキーを噛みちぎり3号が鼻息を荒くする。
「イヤイヤ、どう見てもキモいから」
グラマーなクォーターが上から目線で言った。掘らん千秋だっけ?を彷彿とさせる彼女は、犬峰アリサ、5号。八犬士のモチーフとなった八賢士の1人、犬峰惣次郎の末裔だ。
そして、7号、金城咲子。私は沖縄出身だ。
シャトルバスが姿を現した。闇は少しずつ深まりつつある。
「よっく来たねぇ?那覇市内までのつきあいだけどさぁ?よろしくねぇ?」
小麦色の肌をした運転手は真栄田さん。
私たちはバスに乗り込んだ。
「ゲハハ、君たちよくここまで来れたもんだ」
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