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エレベーターを降りると、ポップコーンの甘い香りが漂っていた。
無意識に売店に目を向ける。けれど、瑞希はすぐにうつむいてホールを横切った。
「シアター6」とかかれたプレートのドアをくぐれば、中はレイトショーということを差し引いても、観客はまばらだった。
ミヤサカとの連絡を絶った次の日から、三日が経つ。今日が有休の最終日だ。
いきさつは、あくる日出社した瑞希の顔色があまりにも悪く、見かねた部長が有休消化するよう言ってくれたからだ。
その提案を、普段の瑞希なら断っただろう。
けれど、珍しく打ち合わせの予定は入っていなかったし、パソコンさえあれば仕事は家でもできる。
瑞希は部長の厚意に甘えた。
本音を言えば、気持ちの整理がつくまで、会社に行きたくなかった。
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