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スマホを取り出し、フルールにアクセスをする。
休止しているだけだから、連絡一本でいつでも再開できる。けど、映画館を出たら退会するつもりだった。
婚活は続けても、このサイトはもう使いたくない。使えない。
（あーあ。 成婚して退会する予定だったのに……）
瑞希はひっそりと苦笑する。うっかり滲みそうになる涙は、どうにか堪えた。
本当、人生は罠だらけだった。
予定通りになんてぜんぜん進まないし、穴に突き落とされたせいで傷だらけだ。
画面上で退会ボタンを探そうとした時、ふと右端のアイコンが目に留まった。メールボックスだ。
そこには思い出や記憶といった、もう必要のないものが詰まっている。
それを見て、瑞希は思った。
退会する前にすべて消去して、ミヤサカへの思いも消してしまおうと。
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