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「あの後、アイツらどうしてる?」
「……うん。もう何もしてこないよ」
「……ホントだな?」
「ホントだって」
ようやく薄くなってきた痣の痕を、悔しい思いでそっと撫でながら聞いたら。
あの頃よりも大人びたタケルが、くすぐったそうに──幸せそうに笑ってくれる。
心配性だね。
ふふ、と。笑うタケルに、仕方ねぇじゃんと、ふて腐れて呟きながら、華奢な体を腕の中に抱き寄せる。
「大事なんだよ、お前のこと」
「……しょうちゃん……」
「……だから、それ、なんとかなんねぇ?」
苦笑いで呟いたら、眉を八の字にしたタケルが、照れくさそうに笑う。
「癖なんだもん。ついポロッと出ちゃうんだよ」
「ったく……」
柔らかくて細い髪を無意識に弄びながら。
「なぁ……」
「ん?」
「これからもさ」
「うん?」
「守らせてくれるだろ?」
「ぇ?」
「オレに、お前のこと。守らせてくれるよな?」
「──うん。……うん。でも、しょうちゃ……しょう」
律儀に言い直す微笑ましさに、頬が緩む。
「ん?」
「僕も……しょうが、困ってたら、助けたいって、思ってるから」
「たける……」
「忘れないでね」
あの日の、光を浴びた髪みたいに、キラキラと。輝く、笑顔。
幸せを噛みしめて、笑い返した。
「──あぁ、ありがとう」
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