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そろそろ道場に向かおうと家を出たときに、今にも死にそうなくらい青い顔したタケルを見つけて。
「タケル?」
後先考えずに声をかけたら、タケルはオレを見つけて、しまった、という顔をした。
「どうしたんだ? アイツら、何?」
随分とガラの悪そうな連中が、門のところでたむろしていて。
悪い予感しか、しなかったのに。
タケルは、オレをまともに見もせずに、家の中に入ってしまった。
「…………ンだよッ!」
くそっ、と。吐き捨てて、出てきたばかりの家の中に戻る。
滅多に使わない家の固定電話から、タケルの家に電話したら。
『しょ、うちゃ……ん』
震えた声。
苛立ちなんて、どこかへ消え去って。
こみ上げてきたのは、あの日の約束だ。
「言ったろ。絶対の約束だって」
祈るように──届くように。
オレが、いつでも。
傍で助けたいと思っているのだと。
伝わるように。
「誰か助けてって、言ったら、助けるから。頼むから、言ってくれよ」
呻くみたいに囁いたら。
『…………──しょうちゃん、助けて』
「任せとけ」
にかっと笑って頷いたオレに。
あの日の天使が、笑ってくれた。
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