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男が、冒険者の様な男が、俺を故意的にこかせたのだ。
そして、その次にくるのは、まるで命乞いの様な声。
「すまない。俺はまだ生きたいんだ」
まるで、卑屈な表情で、男は俺の前から瞬く間に姿を消した。
逃げたのである。俺を餌にして、逃げたのである。
最初に来た感情は、裏切られて悲しいでも、怒りでもない。
ただ、純粋に恐怖だった。
そして、そんな、心底恐怖している時だった。スガルガは動き出した。ゆっくりゆっくりゆっくりと。
まるで、おれの恐怖心を煽るかの様に近づいてきた。ゆっくりゆっくりゆっくりと。
畏怖やら恐怖やら危惧やらで、もう無茶苦茶だった。
スガルガの距離とも、もう、目と鼻の先。
奴の表情が、おれの表情を見て、にこやかにニタリと、笑った。
そして、スガルガの口が大きく広がる。多分、俺を補食するのだろう。
あぁ、死んだ。そう、悟った時だった。
いきなり、スガルガが空中から来た、大きな槍で切り裂かれたのだ。
「ギャビュゥ!」
変な断末魔に、スガルガは、俺の目の前で息絶える。
そして、空中から来た槍の次に、一人の女が、またも槍と同じように地面に着地してきた。
綺麗なロングな銀髪を、ふわりと揺らしながら、その女性は振り返った。
その容姿は、美しい。まるで、まだ幼げな雰囲気を醸し出しながら、瞳はまるで、サファイアの様に青い。
吸い込まれる様な深い瞳を見つめながらも、俺は呆けていた。
さて、これから始まる物語は、彼女に恋する自分か、それともこのはちゃめちゃな世界で頑張って強くなっていく物なのか。はたまた、農業をして、気ままに暮らすのか、そしてそして、元の世界に帰るために、その方法を探す物なのかは、後は今見ている、あなた次第。
これから、先、何が起こるのかは分からない。
ただ、出来事とは常に待つ間もない。
誰が、なにをしたって、この物語は、出来事として始まったのだ。本当に待つ間もなく。本当に刹那に。
では、俺は筆をおろそう。これから始まる物語のために。
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