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「言い直すさね、これはテレポートリングなる物が入っておる。 ほら」
老婆は赤木箱を開けた。そこには、ルビーと言っても差し控えない綺羅美らしい、わずか三センチぐらいの透ける赤石が付いた、金色の、一言で言えば美しい指輪だった。
「これは、なんとも高そうですね。 それに名前も気になるな。テレポートリング? この赤い石はテレポートって石なんですか?」
俺はそのリングをまじまじ見ながら言った。唐突にいって綺麗な石は好きだ。
もっと深く言うならば、小さい頃から綺麗な石が好きだった。
小学生の休みの日なんて、どこぞのアニメキャラの様に河川敷へと行き、石あさりをしたものだ。
なんのキャラとはあえては言わない。ただ、鼻水足らしながら、ボーッとしている国民的アニメのキャラとは敢えて言わない。
とまぁ、こんな風に石は好きだったので、俺はやはりそれを、指輪を引き寄せられるように見ていた。
「これは、ここだけの話」
老婆は俺の質問に答えるのか、突如として話はじめた。
「実はこの石は、地球上の物ではないのじゃ」
「地球上の、物じゃ...ない?」
俺は老婆を怪訝な表情で見ながら言った。そして石に目を落とす。至って綺麗な普通の石だ。
「さよう。これは、異世界の石なのじゃよ」
「異世界の...ですか。 それは何ともまぁ、あたりさわりの無い話ですね」
再度、鼻をかきながら俺は苦笑いした。
「信じぬ事もいいじゃろう。しかし、うむ、今思えば人間はその目で見て信じる生き物だったな。そこで、この石に無料お試し期間をつけたいと思う」
「お試し期間ですか?」
「そうとも。三日間この指輪を貸す。そして三日間試してみて満足したならば買ってもらって、満足しなければ返品すればいい」
老婆はそう言いながらその指輪が入った赤木箱を俺の方へと押しつけてきた。
「あの、お試し期間ってのは分かりますけど、どうやってこれが異世界の物だと判断出来るんですか? つけてるだけじゃただの指輪でしょうに」
「そう言えば、言っておらぬかったな。これは、テレポートリング。名の通りテレポート、つまりは瞬間移動が出来る石なのじゃよ」
俺はそれを聞き盛大に失笑した。
「テレポートですか? それは凄い! 是非ともお試し期間をしたいです。......でも、もし壊れた時なんて考えると怖いですね。これって単価何円ほどするんですか?」
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