第1章

6/9
前へ
/9ページ
次へ
 叫んだ瞬間にまばゆい光が俺の視界に広がり、気づいたときにはもう、空だった。  何か掴まないとと、俺は慌ててすぐそこにあった崖の淵に手でしがみつく。  先の読めぬ展開に頭が混乱しながらも、俺はまず最初に豪語した。 「誰か助けて!!」  と、こんな感じだな。  さて、どうするか、現状は最初となんら変わっていない。変わっているのは腕が厳しい状況から、限界な状態になったと言うことだけ。  ど、どうする。もう、いっそのこと、力を抜いて楽になるか? ばかが! 死ぬなんて選択肢はあってはならないだろ!?  俺は最後に力を使い果たすように、上へと這い上がろうとしていた。  「うっぎぎぎぎぎ!」  全身をプルプルさせながら、全身に力をいれる。  よ、よし、あと、あと少しだ。  額に汗を浮かべ、顔が熱くなっている。そんなときだった。無情にも、俺が掴んでいた崖の先端は俺の体重に負けたのか、脆い瓦礫の様に、一気に崩れた。  当然、俺は落下をする。これが自由落下って奴だ。  あ、ほんとにやばい。どんどん落ちる早さが早くなっているような気がする。  空が、だんだんと遠くなる。  空気を切り裂き、風を受け、俺はなすすべなく、ただただ落ちていた。 「う、うぁわぁわあぁああぁあああああ!!」  俺の命もここまでと、死を悟った。本当に叫ぶしかない。だが、その出来事は刹那に起きた。    
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加