52人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
通勤バスを降りて、並木道で、
「おはよう……ございます」
生徒達にそう声をかけるけど、返事は返ってこない。
普段はそれが当たり前だから〝何時もの事”って思えていたけれども、頑張ろうと思った日にそんな対応をされると流石に朝から滅入ってしまう。
だけど、
「頑張らなきゃ……」
私は私で一日一日を。
そう思った時、
「おはようございます」
ポンと肩を叩かれて、そんな挨拶をされた。
「岬先生―…おはようございます……」
岬先生だった。
「何だか最近、元気がないように見えるんですけど、もしかして何かありました?」
「え……いえ……何時もこんな感じなので……」
まさか、悠馬に会える時間が減ったからなんて言えない。
「本当に最近、身の回りで変わったこととかないですか?」
「は、はい……」
「そうですか……」
内心はドキドキしてる。悠馬の事を考えているのが見透かされてしまわないか―…
岬先生だと特に。
結局、朝から浮かない顔で校内に入ってしまう。
だけど、朝の職員朝礼が終わり、こっそりと携帯を見ると、
「あ……」
ショートメールが届いていた。
送信してくれたのは、悠馬。
〝今夜、会いに行ってもいい?”
そんな内容に、
〝もちろん。私も会いたい”
素早く返信してしまった私の表情は緩んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!