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16、動キ
十月も半分が過ぎ、外の景色は一層秋色を纏っていた。
肌寒くなった夜にホットミルクを入れて、月曜日に放送される深夜ドラマを見るのが楽しみになっている。
もう直ぐ花嫁になる主人公の前に突然現れて、強引に迫っていくミステリアスな年下の元恋人を演じる彼をうっとりと見つめてる。
〝愛してる”
〝もう一度、この身体を抱いて僕を思い出して”
〝僕はずっとスミレさんだけの物だよ”
スミレを自分に置き換えて液晶画面を見つめてる。主人公になりきって悠馬に求められる感覚を味わいたい。
そんな気持ちもあるけれど、何より、他の女性に愛を囁いていると思いたくないから。
例え、演技でも、お仕事であっても、嫉妬してしまう。
バカよね。いい歳をして何をしているんだろう。
そう思うのだけど、時折猟奇的な一面を含んだ愛で主人公を奪おうとする悠馬がまた一段とセクシーでエロティックで、
「あ……っ」
私のオーガニズムを引き起こしてしまう。
直接、触れられてもいないのに、自分の指先に彼のそれを重ねる。
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