第1章

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ここは、私立城戸学園高校。 都会の真ん中に位置し、偏差値もそこそこ、部活動もそこそこの共学校。 この学校の唯一誇れるところと言えば、他所に比べてイケメン・可愛いコが多いことだろうか。 特に男バスは、女子からの人気が高い、各学年のモテ男たちが揃う、イケメン集団として有名だ。 『あっちぃ~、マネージャー、水!』 『はい、おつかれさま。』 私は城戸学園高校2年、椿ゆみ。男バスのマネージャーをしている。 マネージャーの仕事は、大変なことも、部員のファンの女子から嫌がらせなんかもあったりするけれど、 みんなが頑張って練習している姿を見ると、とてもやりがいを感じるし、もっと頑張ろうと思える。 『そういえばさ~、今年の部活紹介、何するよ?』 部活紹介というのは、4月に新入生を集めて開かれる、全部活動合同のアピール会のことだ。 『去年も劇だったし、劇でいいんじゃないっすか?』 バスケ部の劇は、毎年すごく好評で、去年も選手・マネージャーともに、たくさんの見学者が来た。 かくいう私も、その1人だ。 『じゃあ今年は、不良に絡まれてるマネージャーを、正義のヒーロー・バスケットマンが助ける…てのは、どうよ?』バスケ部のムードメーカー、海斗さんのひと声で、今年も劇をやることに決まった。 『じゃあ、ゆみ、マネージャー役ね。で、バスケットマンは…誠、お前な!』 『…え!』 『ん?どうした、ゆみ。』 『あ!いえ、なんでもありません…』 …とかいいつつ、私の心臓はバクバクだった。 なぜなら、誠、神谷誠は、私が絶賛片想い中の相手だから。 (役とは言え、誠に守られるって…考えただけでドキドキだよ~。私、ちゃんとやれるかなぁ?) そんなこんなで、いよいよ、部活紹介の日がやってきた。 (よし、練習通りにやれば、大丈夫なはず…!) 劇が始まり、いよいよ私が誠に助けられる場面になった。 『へへへ、大人しくしろ~』 海斗さん扮する、いかつい不良が私にじりじりと近寄ってくる。 『きゃ~!!だれか、助けて~!!!』 (ここで、誠が『うちのマネージャーに手を出すな~』って助けに来るんだよね。) と、次の瞬間。 『そこまでだ!……オレの女に手を出すな~!!』 『えっ…///』 予想外のことに、思わず私赤面。 誠も赤面。 観客も、赤面。 そして、会場に若干の熱を残しながら、私たち男バスの劇は、無事?幕を閉じた。
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