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多恵はめんどくさくて「いいえ、見ていませんよ」と言う。警察官は念を押すように
「本当に見ていないのですか」と問いかける。
「はい見ていません。もういいでしょう」と言うとさっさと部屋の中に入っていく。
警官はニヤリと笑うと多恵のマンションを後にしていた。
翌日多恵がテレビを見ていると昨日訪ねてきていた警察官が空き巣犯としてニュースに出ていた。
驚いた多恵はテレビにかじりつくように見ていた。
この時多恵の額には冷汗が出て手には油汗がべっとりとにじんでいた。
ニュースでは、空き巣に入って金品を盗んでいた強盗が捕まったと流れていた。
多恵はそれを聞いてあの犯人は自分の顔を見られたのではないかと確かめに来ていたのだ。
あの時知っていると答えていたら、きっと殺されていたかもしれないと思うと多恵はぞっとして体には鳥肌が立ってきた。
そして、へなへなと体の力が抜けてその場に座り込んでしまったのだった。
終わり
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