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――アルス暦8年 5月13日――
頭が痛い。
ここはどこだ。
ぼーっとする頭を無理やりに上げ、自分が今どこにいるかを確認する。
辺りは酒の臭いが充満していて、少し薄暗い。
俺は木のテーブルで寝ていたようだ。
20人は入りそうなこのお店に俺以外の客は一人もおらず、おそらくもう店を締めた後なのだろう。
バーテンダー「お客様、もう間もなく閉店のお時間となります」
俺が起きたことを確認したバーテンダーの男は、本当の意味で店を締めるために声をかけてきた。
今が何時か確認したいところだが、取り敢えず会計を済ませてからでいいだろう。
「…いくらですか?」
バーテンダー「金貨2枚になります」
なんてこった。
以前俺が全力で飲んだ時の2倍の値段がするじゃねぇか。
誰かと一緒に飲んだっけ?
あまり待たせるわけにはいかないので、考え事は後にしてとっととお代を払うことにする。
唯でさえ通常の閉店時間より長居しているのだ。
この店は何度も利用しているので、料金をぼったくることもないだろう。
バーテンダー「ありがとうございました」
バーテンダーに見送られながら店をあとにする。
今から一人ではしごする元気もない。
覚束ない足取りで我が家を目指すことにする。
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