第1章

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ようやく宿に到着した頃には、辺りが明るくなり始めていた。 確か、明日が休みだからハメを外したような気がする。 それまで何をしていて、誰といたかなど全く思い出せなかった。 とにかく部屋で寝ることが先決だと思い、極力静かに自分の部屋に向かう。 この宿は王都で働く騎士とその家族が住むためのものであり、うるさくしすぎると後が恐いのだ。 なのでなけなしの理性を振り絞って音を立てないようにしている。 なんとか俺の部屋に帰ることができた。 一人で住むにしては広すぎるくらいの間取り。 俺自身この部屋で不自由を感じたことはなく、引っ越す予定もない。 まあ不満があるとすれば、先輩方がすぐ近くで寝ているこ―ゲフンゲフン とにかく眠い。 そんな些細なことは放っておいて、さっさと寝ることにした。 着替えもせずにベットに入り込む。 ふと、枕の上に置いてある写真立てに目がいった。 「…母さん、エミリア」 そこに写っていたのは、小さい頃の自分と妹。 そしてまだ元気だった頃の母親の笑顔だった。
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