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ようやく宿に到着した頃には、辺りが明るくなり始めていた。
確か、明日が休みだからハメを外したような気がする。
それまで何をしていて、誰といたかなど全く思い出せなかった。
とにかく部屋で寝ることが先決だと思い、極力静かに自分の部屋に向かう。
この宿は王都で働く騎士とその家族が住むためのものであり、うるさくしすぎると後が恐いのだ。
なのでなけなしの理性を振り絞って音を立てないようにしている。
なんとか俺の部屋に帰ることができた。
一人で住むにしては広すぎるくらいの間取り。
俺自身この部屋で不自由を感じたことはなく、引っ越す予定もない。
まあ不満があるとすれば、先輩方がすぐ近くで寝ているこ―ゲフンゲフン
とにかく眠い。
そんな些細なことは放っておいて、さっさと寝ることにした。
着替えもせずにベットに入り込む。
ふと、枕の上に置いてある写真立てに目がいった。
「…母さん、エミリア」
そこに写っていたのは、小さい頃の自分と妹。
そしてまだ元気だった頃の母親の笑顔だった。
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