第2章

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トウヤ「えーと…。なんというか、勝てるように努力しますって意味だ」 何とも煮え切らない言葉で難を逃れようとする。 とりあえずこの場を凌いでおけば何とかなるだろうという安直な考えだ。 フィリーネ「そっかぁ。それなら別にいいけど」 一見納得したように見えるが俺には分かる。 コイツ、全然信じてないな。 口は笑っているが目が笑っていないのがいい証拠だ。 リンフォード「…もしかして、僕じゃ勝てないのかな?」 俺の言葉を聞いて今度はリンフォードが落ち込んでしまった。 うぅ…。どうすりゃいいんだ。 リンフォードを甘やかしたいのが本音だが、フィリーネの機嫌を損ねるのも今後のために避けておきたい。 トウヤ(こういう時は…) トウヤ「先生、次の試合をしましょう!」 逃げるに限る! この空気に耐え切れなくなった俺は風のようにノーデン先生の元へ向かっていった。 その際リンフォードの背中を叩きながら、「その話は後でな」とフォローを入れるのを忘れない。 これで彼の中での俺の評価はうなぎ登りだろう。 もちろんフィリーネの方は一度も見なかった。
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