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トウヤ「くそっ!」
たまらず魔法で後方に飛び、一旦距離を取る。
一方のノーデン様はその場で突っ立ったまま。
攻撃も追撃もする気がないようだ。
さっさと次の攻撃を考えないと。
何かないか?
パッと思いつくものがない。
頭が回っていない。
さっきの初撃が通用しなかったことに思っているよりも動揺してしまっている。
トウヤ(…くそっ)
今の後退も何の考えもない行動だった。
ただ切り崩せないと感じて距離を取っただけ。
カトリーナ「…ふむ。悩んでいるな若人よ」
いつの間にか目を開けているノーデン様が語りかけてきた。
攻めあぐねている俺の様を見て何か感じたのかもしれない。
トウヤ「いや、別に――」
カトリーナ「――せっかく演習の時間なんだ。たまには先生らしく講釈でもしてやるか」
どうやら俺への問いかけではなく独り言だったみたいだ。
彼女はなおも話を続けようとしているので、俺はそのまま聞く体勢に入った。
カトリーナ「さっきの攻撃はスタートから切り上げまで、動きに淀みは見られなかった。中級騎士としては文句なしの合格点、上級騎士としてなら追第点といったところか」
ここで彼女は一呼吸入れ、優しく微笑んだ。
カトリーナ「その年でその力があれば十分すぎるほどだ。まだ先は長いんだから気長にやればいい。」
カトリーナ「…不満か?」
俺の表情を見たカトリーナ様にそう言われた。
不満かと言われれば不満しかない。
俺はこんなところでつまづいている時間などない。
とにかく強くなりたい。
今はそれしかない。
カトリーナ「……はぁ。まるであのバカの昔を見ているかのようだ」ボソッ
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