第3章

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トウヤ「ッ!はぁっ!」 額にかいた汗を乱暴に拭う。 またがむしゃらに剣を振るう。 フィリーネには上がるなんて言ったが、俺はその足で西門支部の地下訓練室を訪れていた。 こんな気持ちで部屋に帰っても、もやもやが残ったままだと思ったから。 しかし何度剣を振るっても気持ちが晴れることはない。 今まではずっと順調に来ていた…はずなのに。 先輩からも、講師からも、お前には才能があると言われた。 上級騎士になる日もそう遠くない。 そう思っていた。 トウヤ「…くそっ!!」 手に持っていた木製の剣を乱暴に地面に叩きつけた。 型をいくらなぞっても、あの人には傷一つ付けられない。 勝ちたいと願っても、身体が俺にそう訴えかけてくる。 情けない。 なんて情けないんだ、俺は。 「なんて惨めなお姿をしておりますの?」
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