第3章

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トウヤ「…オリヴィア第二王女」 オリヴィア「あら、城の外では王女と呼ばないよう言ったはずですが?」 声がした方向に目を向けると、そこにはこの国の第二王女であるオリヴィア・メフィア・トルタニアが立っていた。 魔法や剣の才能は無いものの、頭脳は極めて明晰で20歳ながら政治の一端を担っている才女である。 トウヤ「失礼しました、リヴィ。それで、何故ここに?」 オリヴィア「何故と言われれば、カトリーナ様にこてんぱんにされたあなたを励ましに、でしょうか」 そう言ってくすくすと笑う彼女。 その姿は気高く、上品で、美しかった。 トウヤ「…あなたが俺を励ますためにわざわざ足を運ぶわけないじゃないですか。本当の理由は何ですか?」 だがあいにく、俺はオリヴィア様の本性を知っている。 こんな下らない理由で行動をするはずがないことは考えるまでもなかった。 オリヴィア「…つれないのですね。まあいいですが。」 そう言って俺に向けた彼女の目は、氷のように冷たかった。 オリヴィア「あまり失望させないで下さい。貴方にはこんなところで落ち込んでいる暇などないはずです」 「現時点で貴方にカトリーナ様と対等に戦う力があることなど期待していません。以前にも言いましたが貴方に期待しているのは、5年後にアルス王に食らいつけるだけの力を有することだけです」 「私の計画ではカトリーナ様にも革命の手助けをしていただくつもりです。貴族も着々と私の味方に着いている今、貴方の力だけが唯一の不確定要素なのです」 彼女は理想を良しとしない現実主義者。 彼女は不確定な未来を嫌う。 綿密な計画の元、100パーセントの確率で成功させることを信条としている。 そんな彼女が不確定要素である俺に目を掛ける理由。 それはもちろん… 勇者アルスが持つ力 これを警戒しているからだ。
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