第4章

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最後にリンフォードの背中を叩き、訓練場の空いている場所に歩いていく。 そして彼は俺についてくる。 何かコツを掴みかけているのか、その表情は先ほどよりも晴れやかだ。 トウヤ(どうにか大会までに修正できればいいんだけど…) 彼の笑顔を見ても俺には一抹の不安が残ったままだった。 人の気持ちはそんな簡単に変わるものではない。 たとえ表面上は良くなっても、いざ実践ではそれが再発してしまうことはよく聞く話だ。 さらに言えば、俺はリンフォードが攻めに集中しきれない理由が何となく分かっている。 分かってはいるが答えを言っても彼の成長には繋がらないと考えている。 厄介なことに、この理由が本当に当たっているなら答えを教えたところですぐに直るとは限らない。 それもあってどう言っていいのか判断に迷っている自分もいる。 トウヤ(はぁ…。たとえ直らなくても俺が頑張ればいいんだ) トウヤ「よし!じゃあ今から俺と模擬戦をするぞ。魔法は無しでやるから」 リンフォード「うん!今度こそ負けないから!」 元気な返事をしたリンフォードは、駆け足で俺から距離を取った。 そしてこちらに振り向いて両手で剣を構える。 トウヤ「じゃあ始めるぞー。よーいスタート」
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