第4章

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彼が剣を突き刺してから蹴りが俺に届くまでの時間は1秒もかかっていない。 魔法を使わない制約を最初に加えたのは俺なので、即座に魔法を使わずに回避できる方法を模索する。 剣での防御は論外。 仮にそうするなら右手を上、左手を下にして縦に構えたまま剣の腹で受けるのが最短行動だ。 しかしそれでは時間がかかりすぎてしまうので却下。 バックステップも駄目だ。 重心を後ろに移しながら移動するわけだが、若干間に合わない。 経験から察するに良くて左頬、悪ければ左耳をつま先で蹴られる。 どう受け流しても脳を揺さぶられるため、回避法としては避けたいところだ。 左手で受け止めるのはどうだろうか? …いや、それも遠慮したい。 いくら小柄とはいえリンフォードもしっかりと鍛えている騎士の一人だ。 遠心力が乗った蹴りを真正面から左腕一本で受けるのは分が悪すぎる。 思考時間はおよそ0.3秒。 思いついた様々な方法の結果をほぼ同時に予想し、最もましなものを実行に移した。 その方法は、左腕を使って蹴りを上に逸らす回避法。
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